日本コーポレート・ガバナンス研究所は、「グローバリゼーションの時代にふさわしい 正しいコーポレート・ガバナンスのあり方について共通の理解を深めることを目的とし、個別企業のコーポレート・ガバナンスの現状を指標化して、日本のコーポレート・ガバナンスの全体像を把握しようとするNPO(非営利組織)です。我々は自身の活動を通じて、我が国企業各社のコーポレート・ガバナンス改革に寄与貢献することを目指しております。
最近の日本では、80年代までは殆ど人が耳にすることがなかったコーポレート・ガバナンス という言葉が頻繁に飛び交っている。グローバリゼーションという新しい環境が進む中、日本企業 の競争力と資本調達力を回復させ、この10年間低迷してきた日本経済を再生させるためには、新しいコーポレート・ガバナンスが上可欠であるという認識が広まっている証拠である。
しかし、コーポレート・ガバナンスに対する会社の取組み方やその実践の多様さを見ると、コーポレート・ガバナンスについての共通の理解や認識がほとんどないことが痛感される。また、残念ながら、依然としてコーポレート・ガバナンスは欧米からの借り物ではないかとの誤解や拒否反応も根強い。
投資家がコーポレート・ガバナンスのあり方の重要性を認識し株主として議決権行使などを通して会社に働きかけるとともに、会社自らがコーポレート・ガバナンスの意味とあるべき姿を正しく理解し、一刻も早く正しいコーポレート・ガバナンスを実践することが、日本にとって喫緊の課題である。
それには、一定のコーポレート・ガバナンス原則をもち、それを基準にアンケートを作成し、わが国の会社のコーポレート・ガバナンスのあり方を調査することが有効であると、われわれは考える。それにより、質問を通してコーポレート・ガバナンスの一つのモデルを伝えるとともに、わが国のコーポレート・ガバナンスの実態を把握できるという一石二鳥の効果が得られる。その際われわれが用いるコーポレート・ガバナンスのモデルは、先般、日本コーポレート・ガバナンス・フォーラムが発表した「改定コーポレート・ガバナンス原則」である。
われわれは「日本コーポレート・ガバナンス・インデクス研究会」を組織し、東証一部上場会社すべてを対象にアンケート調査を実施し、それに基づいて各会社のコーポレート・ガバナンス の状況を測定し、数量化ないし記号化することにした。これをわれわれはコーポレート・ガバナンス指標「JCGIndex」とよぶことにする。
個々の会社のJCGIndexはそれぞれの会社に報告され、その会社のコーポレート・ガバナンス実践の参考に供される。他方、すべての会社の評価を集めて統計処理した結果が、わが国のコーポレート・ガバナンスの「全体像」として一般に公開される。これはわが国全体のコーポレート・ガバナンスを把握し向上させていく上での重要な指標になるであろう。
昨今、資産運用のパフォーマンス低迷に悩む年金資金が、わが国のコーポレート・ガバナンスを変革すべく、議決権行使に意欲を見せている。この「研究会」が作成するインデクスは機関投資家にとっても重要な情報になるものと信ずる。さらに、全体像が明らかにされることにより、海外ビジネス・コミュニテイの対日理解が一層深まることも期待できる。
コーポレート・ガバナンスのインデクス化により、われわれの活動のコアを確立した後、コーポレート・ガバナンス全般についてさらに本格的研究を進め、わが国のコーポレート・ガバナンスを推進するために諸研究・啓蒙活動を行っていくのが次のわれわれの目標である。そのときわれわれの活動の拠点を日本コーポレート・ガバナンス研究所に求めることになる。
すわなち最終的には、学術的にも国際レベルの研究所を設立し、日本におけるコーポレート・ガバナンス研究・実践の頭脳として、研究成果の発表、提言、国際交流等を積極的に行い、もってわが国企業経営の透明性増進と再活性化ひいては国際競争力の回復に貢献することを願うものである。
日本コーポレート・ガバナンス研究所理事長
若杉敬明
企業は、製品の提供によって直接間接に人々の生活に貢献すると同時に、取引先企業にビジネスチャンスをもたらしています。また、従業員には所得を創出し、資本を提供する投資家には資産を増殖する機会を提供します。このような形で、企業は、企業に関わるすべての人々すなわちステークホルダーに経済機会を提供することにより、価値を創造し世の中に貢献しています。
このようにさまざまの人々が関わる企業を、どのような考え方のもとで運営したら、社会への貢献がもっとも大きくなるのでしょうか。いろいろなステークホルダーの中で、誰が責任をもって企業を経営していくのがもっとも合理的なのでしょうか。これがコーポレート・ガバナンスの問題です。
わが国の組織運営はみんなで仲良くやっていくというのが原則でした。このようなやり方は、みんなが協力し合うとい点では有効でしたが、他方でリーダーシップや責任が曖昧だという側面があります。1980年代以降進んでいるグローバリゼーションのもとで、企業は厳しい競争にさらされており、明確な責任体制の下での効率的な経営が求められます。わが国の伝統的な経営が苦手な面が明ら最も重要になっています。そのことが10年以上にわたるわが国経済の低迷をもたらしたと指摘する人がたくさんいます。その意味でわが国の企業経営は大きな転機に立っています。
グローバリゼーションの厳しい状況を勝ち抜くには、それにふさわしい経営体制をとる必要があるという認識が国際的に活躍する企業の間で広まりつつあります。もちろん、企業の重要な構成要素は人であり、人は社会に根ざしていますから、望ましい経営体制は社会が異なれば、--したがって、国や時代が異なれば--当然異なると考えられます。しかし、他方で厳しいグローバル競争を勝ち抜くには共通の課題もあるはずです。つまり、企業経営のあり方には、上偏なる共通の側面と、国や時によって異なる個別の側面とがあります。しかし、国際化・グローバル化が進み世界が一つになりつつある現在、共通部分が急速に増していることも事実です。
このような認識の下で、わが国のコーポレート・ガバナンスのあり方を探っていくのが日本コーポレート・ガバナンス研究所の当面の目的です。そのためにはみなさんの温かい支援が必要です。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
コーポレート・ガバナンスにはさまざまな角度からの見方があり、必ずしも共通の理解や認識に基づいて議論されているとは限らないようです。資本主義経済の下、株主のガバナンスは株式会社制度の大前提ですが、日本ではこのことについてすら共通の認識がありません。しかし、世界的に見ると、グローバリゼーションの進行とともに、各国のガバナンス・システムは一つの型に収束しつつあります。わが国の会社法も、そのような世界の潮流を反映して、委員会設置会社という新しい企業統治機構を導入しましたが、同時に監査役会設置会社という従来の枠組みも残しました。この辺りに日本におけるコーポレート・ガバナンスに対する考え方の多様性が如実に現れています。
JCGRコーポレートガバナンス原則(本文 解説)は、グローバリゼーションと技術進歩という21世紀のダイナミックな企業環境において、企業が公平・公正な方法で優秀な企業業績を達成するためには、次の四つの機能を確保することが重要であるのと認識に基づいています。
つまり、
の4つです。ここで重要なことは、われわれのガバナンス調査においては、これらの機能が合理的な形で確保されているか否かが重視されており、委員会設置会社か監査役設置会社かという会社法上の統治機構の問題には中立であるということです。
| 若杉 敬明 | 理事長・所長 東京大学吊誉教授 東京経済大学経営学部 教授 ミシガン大学ロス・ビジネススクール ミツイライフ金融研究所共同理事長 http://home.att.ne.jp/green/mlc/tw/ |
| クリスティーナ・アメイジャン | 理事/研究主任 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 |
| 永井 秀哉 | 理事/情報管理・渉外担当 日本曹達株式会社 常勤監査役 |
| 奥村 有敬 | 常任顧問 前 国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク 日本理事 元 経済同友会 幹事 元 日本興業銀行 常務取締役 |
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